ブログ

店舗DX
来店客数とは?
~専門店・チェーン店の「売上を動かす」基本と活用法~

公開日:

来店客数とは?

「来店客数」とは、実際に店舗へ入店したお客様の人数を指します。
来店客数情報は、長期間の店舗運営の中での集客をあらわす、重要な運営要素の一つです。

来店客数が多ければ売上アップのチャンスも増えますし、逆にどれだけ購買率(買上率)や客単価を高めても、そもそもの来店が少なければ売上には直結しません。
まず「何人お店に来たか」を正確に把握することがスタートラインです。

なぜ今、来店客数が重視されるのか

近年、来店客数が注目される背景には、以下のような業界変化があります:
  • 小売業界の競争激化
  • 消費者行動の多様化
  • デジタル化とOMO(Online Merges with Offline)の進展

従来はPOSデータなど「売れた後」の数字が中心でしたが、実店舗が「ブランド体験の場」として再定義される中で、売上だけでは店舗の真のパフォーマンスを測れなくなりました。
Web広告やSNS施策が実際に店舗集客に繋がったかどうかを評価するためにも、来店客数は店舗ビジネスの根幹を支える必須指標としてますます重要視されてきています。

来店客数データで取得できる情報とは?

「今日はお店に何人来たのか」という数字を記録するだけでも大事ですが、来店客数データから得られる情報はそれだけにとどまりません。
測定した来店客数を起点に、店舗運営に役立つさまざまな指標を算出できます。

来店客数

日別・時間帯別・天候別にはっきりとした増減パターンが現れます。店舗のにぎわいを定量的に把握する基本指標といえます。

ピークタイム

時間帯ごとの来店客数推移例
1日の中で最も混雑する時間帯や曜日、季節による変動を特定します。

このピーク時に、適切な人員配置と在庫を確保することや、混雑管理によりお客様のストレスを軽減し買い物体験を向上させます。

また、プロモーションやイベントをピーク時間帯に合わせることで売上向上にも役立ちます。

買上率

POSのデータと連携することで、お店に入った人のうち、実際に買った人が何%いたかがわかります。

たとえばアパレル店では買上率(購入率)は平均10%前後と言われ、裏を返せば約90%のお客様は何も買わずにお店をあとにしていることになります。

この「買わずに去った9割」の動向を可視化し理解することが、売上アップのカギになるというわけですね。

ヒント

上記のような指標を追えば、「毎月10日のセールの日に来店客が一番多い」「平日は水曜日の18時台が一番買上率が高い」

──といった来店客数を起点とした「お店の特徴」を分析できるわけです。

部門ごとの視点と活用法

役割毎での来店客数の活用
経営層
ブランド力や市場トレンドの把握に注目し、年間の総来店数やその推移を戦略判断の材料に

企画・マーケティング
商品の魅力や広告施策の効果を測るため、購買点数や客単価、来店数の変化を分析

店舗管理者
運営コストの妥当性や販売員シフトに、時間帯別・曜日別の来店動向を活用

販売員
販促タイミングや買い逃しの傾向を把握し、接客や商品提案の改善に

ひとえに来店客数といっても、役割においても捉え方が大きく異なります。
来店客数情報は、企業内の各部門がそれぞれの目的に応じて異なる視点で活用する、非常に汎用性の高いデータです。
部門ごとに異なる切り口で活用されることで、店舗運営全体の質を高める基盤となります。

では、実際に来店客数データをどう活用すればよいのでしょうか? 専門店やチェーン店でのデータ活用について見てみましょう。

専門店やチェーン店での実運用

店舗環境の変化による集客(来店客数)の変動

月単位での集客の変化グラフ例
月単位での集客の変化(時間帯・日別・曜日別など)

店舗を取り巻く環境(競合・景気・ブームなど)は、常に変化し続けます。

前年との比較により集客変化が有るか? 無いか? 集客変動要因の把握は重要です。

集客の変化は、店舗の環境変化(ターゲット層・商圏範囲・競合店舗)を示します。

年間・月間実績との比較による店舗状態の把握

来店客数や売上などの実績は、計画や前年、前月との比較によってはじめて意味を持ちます。
こうした比較により、店舗状況の変化や外部環境の影響を把握し、必要な対策の有無や方向性を検討することができます。

特に全国に複数店舗を展開しているチェーンでは、店長や地区マネージャーが自ら店舗環境を把握し、変化の要因を読み解く力が求められます。
その上で、地域特性や競合状況を踏まえた柔軟な対応ができるかどうかが、店舗運営の質を左右します。

来店客数から見える店舗の状態(例)

実績比較例

前年実績との比較から読み取れる典型的なパターンと、それに対する考察例です:

右のグラフのように
「来店客数が減少している一方で、買上率のみが相対的に上昇し、売上は横ばい」
──このような状況では、店舗の集客力や魅力に課題がある可能性があります。

「来店数の減少」
──このようなケースでは、ターゲット層とのズレや店舗コンセプトの陳腐化を示唆している場合があり、競合出店や商圏変化など外部要因によって、店舗の訴求力が低下している兆しともとらえられます。集客ターゲットの再定義や店舗の魅力の再構築が求められます。

それぞれ具体的な施策例として、広告・販促施策の見直しや強化、店舗レイアウトやVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)の刷新、改装の検討などがあります。

本部(管理拠点)での実運用

評価基準値の策定「来店客数・買上率・客単価」

評価基準値の策定
本部では、事業性に合った評価基準を策定する必要があります。

この基準値としては、全店舗の平均値や、地域単位の平均値が最も実用性が高く、集客性・店舗数・販売方法・商品性を含んだ総合的な基準値と言えます。

地域や店舗規模によって客層や来店パターンは異なるため、生データをそのまま比較するのではなく季節変動や立地差を補正して同じ土俵で比べる工夫も必要です。

「どの店舗が基準値から外れているか」「売上好調店と不振店で来店・買上率のどこに差があるか」、属人的な勘や経験ではなくデータに基づいて店舗運営を評価・指導できることはチェーン展開における大きなメリットです。

店舗計画

店舗計画
本部においては、店舗管理としての評価と共に、事業計画のプロデュースとしての役割が重要です。

①新規出店
・実績目標(予測)と結果評価による出店ノウハウの構築。
②改装・リニューアル
・対象店舗の候補選定と効果検証
③閉店・統合
・商圏評価と実績からの店舗整理価と共に、事業計画のプロデュースとしての役割が重要です。

基準値をベースに新規出店要素の判断基準や、目標管理(評価・検証)を一貫して管理できます。

宣伝・広告

宣伝・広告
来店動機付けとなる宣伝・広告を、店や地区の状態に合わせて効率(周期・内容)かつ適切に行うことで、ブランド力の向上・トレンド維持が行えます。

複数店舗を展開する強みとして、さまざまな販促効果をデータで比較検証しやすいことが挙げられます。

例えば、あるエリアの店舗では折込チラシを実施、別のエリアではSNSクーポン配信を実施したとします。
「来店客数や買上率にどんな変化が生じたか」を見れば、販促手段ごとの集客効果を定量的に比較できます。
それぞれの施策に対して、時間帯別来店数の推移を比べることで「どの施策が一番お客様を呼び込めたか」が分かります。

このようにしてチェーン全体で再現性のある“勝ちパターン”を見つけ出し、次の販促企画に活かすことができます。

ヒント

本部では、各店の「来店客数・買上率・客単価」といった主要KPIを一覧できるダッシュボードを活用することで来店数と購買率のバランスから各店の課題傾向が一目で分かります。

まとめ

最後に「来店客数活用のポイント3つ」

来店客数を分析する
1. 来店客数は売上分析の出発点
2. 企業全体でデータを活かす運用
3. ダッシュボードで全店舗の傾向を可視化

来店客数は「売上の母数」として非常に重要な指標であり、買上率・客単価と組み合わせることで「何が売上を動かしたのか」を明らかにできます。

単に「今日の売上○円」では見えなかった店舗の課題が、
「今日は○人来てそのうち○人が購入した(買上率○%)、客単価はいくら」と分解して見ることで浮き彫りになります。

「なぜ売上が伸びたのか・落ちたのか」を分析する際も、来店客数の増減が要因なのか、購買率の変化なのか、といった切り口で検証できます。

来店客数という土台データをしっかり計測・分析することで、自店の課題や伸びしろが見えてきます。

お役立ちブログ:こちらもご覧いただいています


【ご案内】 技研トラステムのトラフィックカウンター(人数カウントシステム)とは
技研トラステムでは、独自開発の高精度センサーによる人数カウントシステムを、国内外に延べ10万か所以上に設置しています。
ご興味お持ちいただけましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

その他のお役立ち情報