顧客動向・属性把握とポイントアプリの相乗効果で
デジタルプロモーションが躍進
デジタルプロモーションが躍進
ジェイアール東海静岡開発株式会社様
JR静岡駅直結の商業施設「アスティ静岡」は、2023年にリニューアルを実施。来客属性などの分析を実施するため、客数情報サービス、男女年齢層分析システムをご採用いただきました。さらに、センサデバイスに標準搭載の「PASSER-BEACON(パッサービーコン)」を活用したクーポン配信施策など積極的にご活用いただいています。
この狙いや活用方法について、ジェイアール東海静岡開発株式会社の下川剛央様、原匠様にお話をお伺いいたしました。
アスティ静岡:公式サイト
この狙いや活用方法について、ジェイアール東海静岡開発株式会社の下川剛央様、原匠様にお話をお伺いいたしました。
アスティ静岡:公式サイト
リニューアルを機に、 より地域に寄り添う商業施設へ
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貴社の概要と展開している商業施設について教えてください。
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下川様 当社ジェイアール東海静岡開発株式会社は、静岡県内で11の駅商業施設「アスティ」と、鉄道高架下や沿線における店舗・駐車場の開発、運営を行っています。その中でも当施設「アスティ静岡」は、JR静岡駅に直結する当社のフラッグシップ施設です。
2023年に大幅なリニューアルを実施し、これまで以上に地域に寄り添うことを目指して、特に食物販をバラエティ豊かに揃えることや飲食テナントの充実により日常使いできる商業施設へと生まれ変わり、同年11月にグランドオープンしました。
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リニューアル後の手応えはいかがでしょうか。
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下川様 リニューアル後の来館者数は前年比116%となり、ターゲットとしていた地元顧客・30~50代女性層の増加も確認でき、狙い通りの効果が出ています。特に新規店舗は好調を維持しており、既存店舗への波及効果をさらに高めていくことが今後の課題です。
精度の高い人流・属性データが、プロモーションの核に
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以前から当社・技研トラステムの人数カウントシステムを導入いただいており、
リニューアルのタイミングで全箇所ビーコン付きのセンサに更新いただいています。-
原様 以前は主要動線のみの通行者数把握にとどまっていましたが、今回設置した新しいセンサによって分岐を含む全通路で通行者数の計測が可能になりました。
下川様 当施設は静岡駅の改札すぐそばに位置しており、駅を利用する方の公共通路としての側面もあります。
当施設を訪れたお客様が仕事帰りの方なのか、観光の方なのか、そういったポイントを少しでも捉えようと、曜日や時間帯に合わせて性別・年齢層などが把握できる属性分析も導入しました。
技研トラステムさんのシステムは、細かなニーズにも対応できる柔軟性が魅力でしたし、人数カウントに加えて属性分析に関しても高精度で正確に計測できる点も決め手でした。設置箇所も技研トラステムさんとともに選定し、より詳細な顧客動向の把握が可能になりました。
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導入後に見えてきたデータや、意外だった数値などはありますか?
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下川様 通路ごとの属性・通行者数の情報が取得できたことは大きな収穫です。
例えば、北側通路であるノースストリートは企業や学校への動線として多く使われていることが判明しましたし、
南側のサウスストリートは新幹線改札との動線が強いので、やはり静岡のお土産やお弁当などを求めた観光利用が多く、
通路により用途や客層に傾向があることが分かりました。
性別・年齢層データからも意図したリニューアル効果を確認することもできました。
新店舗が数多くオープンしたセントラルストリートは以前と比べて通行量が増加しており、リニューアルの効果がでていると
考えています。全通路にセンサ設置したことで、通路毎の特性が肌感覚ではなく数値・データとして取れることが魅力ですね。
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(※技研トラステムより:AIO-FX1は、10~60歳までを5歳刻み(各年代層を前半・後半)で分類可能で、より詳細な分析にお使いいただけます。)
買い回りを促すデジタルプロモーションで成果を上げる
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JR東海グループ共通のポイントアプリ 「TOKAI STATION POINT」と当社「PASSER-BEACON」を連携いただき、
クーポン配信サービスに活用いただいています。-
下川様 「TOKAI STATION POINT」は、JR東海グループの駅商業施設の共通ポイントサービスとして2023年10月からサービスを開始しています。
グループ内事業間のクロスセルといった効果に加え、様々なデジタルマーケティングへ活用できるため、駅商業施設や東海道新幹線の利用者を中心に、ユーザー獲得と定着を目的とした施策を検討していました。
原様 そこで当館では、出入口に設置した人数カウントセンサに内蔵の「PASSER-BEACON」と「TOKAI STATION POINT」を連携させたクーポン施策を試みました。
仕組みとしては、「アスティ静岡」の出入口を通過する際、受信設定※を満たしたスマートフォンやタブレット端末に対して属性や利用状況に合わせたクーポンが自動的に配信されるというものです。
ユーザーはまさに自分のいる場所や目的と連動したクーポンが届くため、開封率や使用率が高いというメリットがあります。
※Bluetooth、位置情報、通知をONにした状態
下川様 例えば、ある食物販テナントではクーポン受信者の来店回数が増加し、1人あたりの月間購買額も1,000円ほど上昇しました。
また、東館にある飲食店では、西館でクーポンを受信した方が東館に移動して使用されているケースも多数見受けられ、買い回りを誘発できていることが分かりました。 “店舗の近くで受信した方が使用するだろう”という予想が、いい意味で裏切られましたね。
こうしたデータはクーポンを「誰に、いつ、どこで配信するか?」といった検討材料の一つになることは間違いありません。
「もらったら嬉しい」という層に対して最適な頻度で配信できるよう我々としてもブラッシュアップしたいですし、テナントの皆様とともに効果的に活用しながら館全体としての売上向上に繋げていきたいです。
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施設への来店頻度が増加したデータも出ており、クーポンによるリフトが証明されていますね。
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下川様 グループ初の試みであり、当館にとってもチャレンジングでしたが、館としては会員数増加につながり、テナントでは販促施策の効果検証が可視化されますので、双方にとって良い取組みかつ成果を上げることができました。今後もビーコンで顧客の行動をより正確に把握することで、テナントに対する効果的な提案や、施設全体の運営をさらに最適化していくことが可能になるだろうと期待しています。
原様 アプリのダウンロード促進やポイント施策に関しては、ただ待っているだけで利用者が増えるわけではなく、運営側が顧客を理解し、いろいろなイベントやキャンペーンなど、最適な施策を打っていくことが大事だと痛感しています。そのために、客数や属性をデータで把握することが、その戦略の羅針盤的な役割を担ってくれていますね。
下川様 これは余談ですが、JR東海のグループ内で各施設の取り組みや施策に関して発表報告をする場があるのですが、人数カウントシステム導入によるリーシング効果やアプリ連携といった施策を発表したところ高い評価が得られ、社内表彰にもつながりました。
(※技研トラステム:関わらせていただいているだけに、それはうれしいです!!)
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今後、アスティ静岡をどのような施設にしていきたいですか。
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下川様 「アスティ静岡」に行くこと自体が目的となるように、つまりアスティのために静岡駅に来たと言っていただけるような、魅力的な施設を目指しています。
人流や属性データを活用したプロモーションができるようになったことで、私たちの施設運営の成果や課題がより明確になってきています。これからもお客様にとってより魅力的な施設づくりを進めていきたいですね。
お忙しい中、当社サービスのご活用についてお聞かせいただき、誠にありがとうございました。