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ピープルカウンターとは?
商業施設での客数計測システムを解説

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ピープルカウンターは、「人数カウントシステム」「客数カウントシステム」「来店計測システム」「店内分析システム」などともいわれる、商業施設や店舗、公共施設、交通機関、駅、空港などで、来客数や来場者数、利用者数を測定し、マーケティングや施設運営管理などに活用されるシステムです。本記事では、商業施設や店舗を例に来客数カウントについてご説明します。

商業施設での人数カウントとは?

商業施設での人数カウントとは?
商業施設における人数カウント(来客数)データは、長期間の店舗運営の中で重要な運営要素の一つです。
売上実績を上げるために大事なことは集客ですが、いずれの店舗においてもさまざまな販促や広告などの施策を打ち、集客獲得活動をされています。

ただ、これらの取組みを、肌感覚と経験からの判断ではなく、来店・来場客数を数値化することで施策立案しPDCAを回すことが、データドリブン経営における重要な要素と言えます。

この活動をDX化するために、ピープルカウンター(人数カウントシステム)を導入されるケースが増えています。

システムの仕組み

人数カウントシステム(オンプレミス)構造イメージ
 
店舗や施設の運営体制に合うシステムを選ぶ必要があります

人数カウントシステムは大きく2~3のシステムで構成されています。

最も重要な目の役割をする専用のセンサーやカメラで、特定のエリアを通過した人の数や動きを計測分析します。

エッジ処理したデータを通信ユニット(センサーやカメラに通信機能内蔵も多い)で伝送、専用アプリケーションでデータを確認します。

人数カウントシステム(クラウド)構造イメージ
初期のシステムでは赤外線センサーで目に見えない線を通過した人を検知しカウントしていましたが、現在は画像処理によるシステムが主流となっています。

メーカー独自の技術でセンシングしたデータをクラウドサーバーにて通信させ、遠隔で確認します。

大きな商業施設ではオンプレミスタイプで、ローカルネットワークにて利用されることも多くありますが、クラウドモデルが近年増加しています。

把握できるデータとは

人数カウントシステムでは、主に以下のデータが取得できます。
このデータを元に、日時や月次での運営管理指標(KPI値)を設定し販促施策などに反映、また年度での経営指標の策定などに利用されています。

来店客数

商業施設 来店客数
人数カウントシステムから得られる最も基本的なデータが「入店・退店数」です。
このカウント精度の良し悪しは、データドリブンによる販促施策の成功に大きく影響します。

人の動きの測定は別の指標でも活用されます。
「フロア回遊(方向別通行量)」は来店されて左右か真っすぐに進まれたのか、どのような店舗行動されたのかを示しますので、施設や店内の動線、レイアウト、サイネージ、POP配置などの検討の参考値になります。

「店前通行量」は文字通り、店の前をどれだけ通過したかを方向別にカウントします。
この店前通行量と入店数により「入店率」が導かれますので、店の魅力を計れる指標とも言えるでしょう。

関心度

関心度
店舗への「立寄り数」「滞留時間」も取得できます。
特定の売場や棚にどれだけの方が足を止めたかがわかりますので、来店者の興味関心度が測ることができます。 

混雑度

混雑度
 「店内の混雑」「レジ混雑」の度合いも可視化できます。
想定している人数に対し、どの程度の入店数かで混雑判定が可能です。
また、レジの滞留状況の測定でどのレジが混んでいるか、時間帯混雑データからシフトの調整など、定量的に把握可能です。

属性(デモグラフィックデータ)

属性(デモグラフィックデータ)
「男女・年齢層」はマーケティングに欠かせない要素です。
来店分析、イベント効果、商品企画への反映、テナント誘致のバックデータなどに利用できます。

人数カウントの導入メリット

 データはどのような価値や効果に繋げられるのかが重要ですが、人数カウントシステムで得られたデータはどのようなベネフィットを生むのでしょうか?

売上や業務効率の向上

POSデータでは購入に至った顧客の情報のみとなり、購入に至らなかった来店客数は反映されていません。
人数カウントシステムだと、入店した全ての来店数を基に分析を行えますので、来客数と購入客数で「買上率」が明確になります。
さらに店内回遊や、商品への関心興味を計測する事で入店から購入までの顧客行動を把握することができます。
来店時の顧客行動の分析により、運営改善点を明確にすることが可能となります。

顧客満足度を高める

来店客の滞在時間(平均滞留時間)を把握することができます。
一般的に、店内での滞在時間が長いほど、店舗やブランドへのエンゲージメントが高まり、売上にもプラスの影響がみられます。
イベントや売場変更、拡張による平均滞留時間の変化を分析することで、今後の企画や運営の効果的な指標として活用できます。

プロモーション効果のPDCA

日々の来店客数の分析を通じて、イベント前後の変化を評価することができます。
来店客数と合わせて、店前の通行量を計測することで、店舗への誘引力(入店率)を評価することができます。
さらに、時間帯や曜日別の通行量の変化を分析し、ディスプレイや出店場所の効果を最大化するための最適なレイアウトやデザインを検討することが可能となります。

館内の空調を最適化(快適性と省エネ+コスト削減)

館内の空調を最適化
人が集う場所では快適性も施設評価に結び付きます。
正確な人数カウントデータと館内空調システムを連携することで、利用者にとって快適な施設運営が可能となります。
また、混雑データをもとに空調稼働を最適化することで、省エネ効率化にも貢献できます。

人数カウントシステム導入事例

セブンパーク天美

大型商業施設開業と同時に館内の混雑状況の可視化に加え、来客属性などの分析を実施して集客増を図る施策を実施されています。

・ピープルカウントデータをもとに館内サイネージや公式HPでの混在状況表示
・防犯カメラと専用のセンサーを比較。高精度とワンストップサービスを優先比較しセンサーに決定
・客数、属性データから来店動機を考察し、館の施策に活用

虎ノ門ヒルズ

開業前後での虎ノ門ヒルズ周辺施設に与える効果・影響、来街者の往来状況等を数値で把握し、エリア全体での運営改善に反映されています。

・虎ノ門ヒルズ駅の改札からの来街者動線、滞在の把握  
・客数データからのイベント企画最適化の実施
・客数データによる施設内の広告媒体価値の提示 

恩賜上野動物園

運営する施設で統一したシステムを運用できるという点と、ピープルカウントソリューションの導入によって園内の滞在人数の把握が容易になるということで導入されました。

・SNSなどでの混雑情報の発信や、園内での来園者方への案内
・平均滞留時間(来園者一人当たりの平均滞在時間)の計測が可能になったことで、園の運営指標のひとつに
・「パンダのもり」に偏ってしまう傾向から園内全体を回遊できる施策立案の助けに 

人数カウントシステムの上手な活用で、肌感覚の判断からデータドリブンへ

技研トラステムの人数カウントシステム

このように、人数カウントシステムは人材不足の背景から省力化・DX化の取組として、商業施設を中心に広がりを見せています。
技研トラステムでは、センサーシステム開発から設置、保守サービスまでトータルでご提供しており、現在、国内外に延べ10万か所以上に設置しています。
商業施設や店舗DX化について、ぜひお気軽にご相談ください。