「年間2,000万人」が行き交う商店街

地域や観光客に愛されるため
DXによる持続可能な街づくりを推進

クリスロード商店街振興組合様(仙台市)
クリスロード商店街ロゴ
仙台市中心部に位置するクリスロード商店街では、2024年10月から人数カウントシステム「PASSER -CLOUD(パッサークラウド)」を導入。
商店街の正確な通行量の把握を実施し、蓄積したデータに基づいた街づくりを進めようとしています。
クリスロード商店街振興組合の「商店街の未来を考える委員会」委員長 安部匡晃様にお話を伺いました。

クリスロード商店街:公式サイト

150店舗が連なる東北第一号認可の商店街

  • クリスロード商店街の概要を教えてください。

    クリスロード商店街振興組合 安部匡晃様。 安部氏は株式会社フクヤジャパンにてアパレルや食品雑貨など複数店舗を経営。
    安部様 全長285メートル、約150店舗が軒を連ねている大規模な商店街です。
    仙台駅から徒歩5分ほどの場所で、地域の方々の普段使いから観光客の街歩きスポットとしても親しまれています。

    毎年7月末には「三瀧山不動尊の夏祭り」、8月には全国に誇る「仙台七夕まつり」などでも賑わい、実に活気ある商店街だと自負しています。
  • 人数カウントシステムの導入に至った背景や理由をお聞かせください。

    仙台の中央二丁目にある「クリスロード商店街」
    市中を縦横に走るアーケード街の一角に位置する。
    安部様 1963年4月に東北での商店街振興組合第一号として発足した歴史がある一方、1992年にアーケードを設置して30年以上経過していることによる老朽化対策、あとは当然ながら来街者増のための施策など、今後の商店街のあり方を考えていく時期にきています。

    そこで、商店街振興組合内に「未来を考える委員会」を設立し、今後どのような街づくりをしていくかといった視点で他の商店街の視察や、商店街情報のデジタル化などDXの推進にも取り組んできました。

    この過程で、「今後何かしらのプロジェクトを動かすにしても、商店街の通行量を把握しなければ」と考えるようになりました。

    実は県や市、商工会議所などによる通行量調査が毎年実施されてはいるのですが、もっと正確な人流データを知りたいと思っていたんです。
  • 従来の通行量調査では何か課題があったのでしょうか?

    安部様 従来の通行量調査は年間の1日か2日のみのスポット調査なので、調査日のイベントや天候で通行量は大きく左右されます。

    例えば、クリスロード商店街と反対側の仙台駅東口方面には楽天モバイルパーク宮城があるのですが、プロ野球の試合がある日は人がそちらに流れ、商店街の人通りがぐっと減ってしまうんです。
    そういった特定の日と調査日がかぶってしまうと全く有用なデータにはなりませんし、早朝や夜間の通行量も把握できていませんでした。

    他にも、特定の携帯電話会社によるビッグデータなども入手はできますが、あくまでも推計値であり実数ではない、単に傾向がわかるだけで私たちの知りたかった正確な人流データではありませんでした。

    ですから、精度の高いデータを取得するには自前の人数カウントシステムを導入する必要があると判断しました。

可視化されたトラフィックデータにより
「東北No.1商店街」のブランディングが実現

  • 技研トラステムを選んでいただいた理由を教えてください。

    安部様 大阪の戎橋筋商店街を視察した際、技研トラステムさんのシステムが導入されていたことを知りました。
    地元に帰って仙台エリアの商業施設をまわってみると、近隣でも圧倒的に技研トラステムさんの導入シェアが高いことがわかったんです。

    商店街で導入するには組合員の合意が必要になるため、信頼性の高いものでなければ反対の声が出てしまいますから、技研トラステムさんの全国的な実績は安心感がありました。また、アーケードがあるとはいえ屋外でも正確なデータが取れるという品質も大きなポイントでした。

    (参考:技研トラステムが選ばれる3つの理由とは)
クリスロード商店街の中心にある「三瀧山不動院」に人数カウントシステムを設置。
(商店街マップ:クリスロード商店街振興組合HPより抜粋)
  • 2024年10月から正式運用が始まり、半年が経ちました。導入後の手応えはいかがですか。

    パッサークラウドのダッシュボード。時間帯別通行量の推移が一目瞭然。
    安部様 商店街中央にある三瀧山不動院(商店街振興組合事務局)前の通路に東行き・西行き両方向を計測するセンサーを設置しています。

    この半年間で蓄積したデータから、気象条件の影響が定量的に把握できるようになりました。
    アーケードがあるとはいえ、雨天時や強風時はお客様の動きが顕著に変わります。

    時間帯によるトラフィックパターンも見えてきました。
    特に17時~18時頃は駅から市街地方向への流れが多く、帰宅する方々だと考えられます。
    そして18時になると今度は駅方向に向かう人口移動が増加しており、おそらく駅前で飲食をするのではないでしょうか。
    20時くらいになるとまた人の流れが駅から市街地方向へ変わるという、一日の中での人流の変化もデータとして捉えられるようになりました。
  • このデータは具体的にどのように活用されていますか?

    総通行量をWEBサイトで公開。
    (クリスロード商店街振興組合HPより抜粋)
    安部様 まずは商店街のウェブサイトで、月次での総通行量と平日、土日それぞれの総通行量を公開しています。

    東北一の通行量であることの開示で、数値によるブランディング効果もありますし、エリア価値の向上につながります。
    商店街の中には大家として不動産業をやっている方も半分程度いらっしゃるので、地価上昇、資産価値向上などに貢献できる指標となります。

    また、クラウドの人数カウントシステムを導入し、各組合員がトラフィックデータのダッシュボードまで閲覧できるようにしています。
    各店舗のオーナーさんや店長さんがこの数字を見て「通行量はこれだけあるのに、自店の客数は少なかった」などと、自店のコンバージョンのギャップ分析や戦略立案に活用している話も聞きます。特に地元企業の経営者は積極的に活用してくれているようです。
  • クリスロードの通行量が順調に増加しているということですが、その要因についてはどのようにお考えですか。

    以前は郊外にあった大学が都市にキャンパスを集約させた影響かもしれません。
    商店街をみていても、若い方の往来が比較的多いという感覚があります。
    また、近隣の駐車場に他県ナンバーの車が多く見られるので、買い物や観光で仙台を選んでいただいている方が以前より増えているのかもしれません。

    まだ要因は特定できていませんが、これからデータを活用して多角的に分析していきたいですね。 

持続可能な地域発展のために
未来を見据えた施策で、魅力ある商店街づくりを推進

  • 商店街として客数情報データを導入する意義やメリットは何だと思われますか。

    安部様 商店街として最も重要なのは、お客様を呼び込み、エリアの活気につなげることです。

    人通りがなければ売上も立ちませんし、「今日は人が多いような気がする」といった定性的な感覚に依存していたり、「昨日はなぜか売上が多く、今日はなぜか少ない」と漠然とした判断では、今後マーケティング施策を打とうとしたときに裏付けとなるエビデンス不足の状態になってしまいます。

    余談ですが、仙台市の商店街の集まりがあった際、当商店街の人数カウントシステム導入には他の商店街も非常に関心を示されていました。やはりデータの重要性はみなさん認識されているのだと感じましたね。 
  • 今後、このトラフィックデータをどのように活用していく予定でしょうか。

    1日平均5万人以上の往来があるクリスロード商店街。推計ではなくリアル人流データを活用した今後の集客施策に期待。
    安部様 当商店街としては導入してまだ半年なので、全体のトレンドを把握している段階です。
    第一目標として1年分のデータが蓄積されたら、各店舗がどのようにデータを活用しているのかという事例を集めて共有し、新たなユースケースを検討していきたいと思っています。

    例えば、私が経営している店舗には来店カウンターを設置したのですが、通行量から導き出せる店舗の入店率なども共有して、商店街でのお客様の動線や傾向を分析できればと考えています。

    データを取ったことで次のアクションにつながる可能性が広がり、それが今から非常に楽しみです。
  • クリスロード商店街の今後の展望についてお聞かせください。

    安部様 全国的に商店街が縮小トレンドにある中で、クリスロードは幸いにも通行者が増加しています。とはいえ、この状況に慢心していては同様の衰退リスクに直面しかねません。
    この状況をさらに発展させるために、正確なデータを基盤とした施策を構築していきたいと思っています。

    月次や時間帯別の通行量が可視化され、これからの商店街運営に客観性がある大きな指針ができました。
    地域、そして観光客に愛される商店街として、持続可能な成長をしていく。そのためのプラットフォームとして、このシステムを最大限活用していきたいと考えています。


    お忙しい中、当社サービスのご活用についてお聞かせいただき、誠にありがとうございました。

     

ご導入いただいたシステム